早朝の善行は難しい


 一昨日の早朝、仕事の帰り道に拾いモノをした。大きな団地やマンションが建ち並ぶ一角のそう人通りの多くない道路で、スイミングクラブかなにかの会員証を拾った。プラスチックのケースに入った会員証の裏にはクラブが運行しているバスの乗車カードも入っていた。


会員証を見てみると、それは4歳の女の子のものだった。電話番号と住所もしっかり書いてある。このまま放置したのでは可哀想なので、届けようと思ったが、なにせまだ午前6時ちょい過ぎ、早朝の話である。電話しようにも、こんな朝早く、わけのわからないオヤジから「へへへ(ってなぜ笑う)オタクのお嬢さんの会員証を拾った者ですがね…」なんて電話があるのはちょっと迷惑でヤかもしれない。なんてことを気遣うワタクシは、そこで住所を頼りに女の子の家を捜すことにした。徹夜仕事明けで疲労困憊、しかもまだ家までは歩いて30分以上かかるというのになんていい人なんだオレと思いながら。


住所から察するに、女の子の家はどうもマンションのようだ。見渡すと右手に団地群、左手に新築の高そうなマンションが何棟かあった。ええい、ままよと直感を信じてひとつのマンションの前に行ってみると、これがピンポン。リーチ一発ツモだったのだ。さっそくマンションの中に入り、入り口すぐ横の管理人室を覗き込むが誰もいない。しようがないので、郵便受けを探して、部屋番号を頼りに拾った会員証を投函してきた。ちなみにこのマンションの郵便受けの並ぶ一角は、エントランスから仕切られた別コーナーになっていて、入っていくと音声でなにやらガイダンスが流れる仕組みになっていて、ちょっとびびった。


というわけでイイコトをしたのに誰にもほめてもらえなかったが、きっと女の子の家庭では「●●ちゃん、良かったわね。親切な人が届けてくれて。もう落としちゃダメよ」「うん、きっと優しくてハンサムなオジサンだね」なんてな会話があったに違いない。そう信じて家路への遠い道のりをスキップしながら(うそ)帰ったのでありました。じゃんじゃん。