若き日のトニー師匠

前にも「裏藤原」で書いたことがあると思うが、昭和を代表するコメディアンのひとり、トニー谷とは生で会ったことがあるし、生の舞台も何度も見ている。ワタクシが学生時代にバイトしていた日劇ミュージックホールの幕間で行われるコントに、晩年のトニー谷が出演していたからだが、かつて一世を風靡した人だけに、他の名もなきコメディアンとは風格が違い、舞台も面白かった。それから長い時が流れ、トニー谷のことなど忘れてしまっていた頃、大瀧詠一がプロデュースしたトニー谷のアルバム「ジスイズ・ミスター・トニー谷」がCDで復刻した。このアルバムはワタクシの愛聴盤のひとつで、「さいざんすマンボ」「サンタクロース・アイ・アム・ソーリ」などの名曲が収録されている(ついで言うと、あがた森魚がプロデュースした榎本健一、いわゆるエノケンのアルバム「Best the Enoken」も愛聴盤だ)。このアルバムのおかげで、ワタクシはすっかりトニー谷ファンとなってしまったわけだが、今日、ふとチャンネルNECOの番組表を見ていたら、トニー谷の若き日のコメディシリーズ“家庭の事情”が2作品放映されるとあるじゃないですか。あわてて録画。うち1作品「家庭の事情 馬ッ鹿じゃなかろかの巻」を見た。内容はたわいもないというか、不出来なコメディだったが、若き日のトニー谷が歌い踊る姿と、ワタクシが生まれる直前の昭和の風景がなんだかとても懐かしく、それなりに楽しめた。デブタレの千葉信夫も懐かしかった。残りの1作品「続家庭の事情 さいざんすの巻」は、さて、いつ見ることになるやら…。